労働災害とは、労働者が仕事に関連してケガや病気を負ったり、死亡したりする事故や健康被害のことを指します。労働災害は、労働者が働く過程で発生する様々な危険要因によって引き起こされる可能性があります。
労働災害の原因となる危険要因は多岐にわたります。例えば、危険な作業環境や施設、作業機械や装置の不適切な使用、適切な保護具の欠如、労働者に対する教育・指導不足、労働時間や休憩時間の適切な管理の不備、作業手順のミス、労働者の無理な労働負荷や過労、化学物質や有害物質の暴露などが挙げられます。
労働災害の結果として、労働者は怪我をしたり、職業病にかかったり、最悪の場合は死亡することがあります。これにより、労働者やその家族に深刻な身体的・精神的な苦痛が生じ、社会的・経済的な影響も及ぶことになります。
業務災害の場合
業務災害とは、業務から生じた災害、すなわち労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下において労働を提供する過程で、業務に起因して発生した災害をいいます。
業務災害であると認められるためには、「業務遂行性」と「業務起因性」の要件を満たす必要があります。
● 業務遂行性
業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態をいいます。
そのため、労働者が業務に従事している最中はもちろんのこと、業務に従事していなくても、休憩時間中など、事業主が指揮監督を行いうる余地があって、その限りで事業主の支配下にある場合には、原則として業務遂行性があると判断されます。
● 業務起因性
業務起因性とは、「業務が原因」となってケガを負ったこと、すなわち、業務と負傷や疾病などとの間の因果関係のことを指します。
通勤災害の場合
通勤災害とは、労働者の通勤によって発生した傷病等をいい、「通勤」のときに負ったケガや病気に対して認定される労働災害です。
「通勤」に該当するケースとしては、以下の3つがあります。
住居と就業場所との往復
就業場所から他の就業場所への移動
単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動
そして、これらの移動は合理的な経路および方法により行う必要があります。
したがって、移動経路からの「逸脱」や「中断」があった場合には、原則として「通勤」とは認められません。
もっとも、この逸脱・中断が、日常生活を行ううえで必要な行為(日用品の購入・選挙権の行使など)をやむを得ない事由のために最小限度で行うものである場合には、これらの逸脱・中断後の移動であっても「通勤」にあたることがあります。